10月25日 15時16分 担当/事務局 藤長
レコール・デュ・ヴァンにて10月31日(土)に開催いたします、日本酒1日講座の特別講師である、門司健次郎氏が読売新聞に連載されていた「酒ひと話」。
今回はその第4回目を掲載いたします。
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(2009年5月24日 読売新聞 朝刊より)
酒サムライと言っても日本酒ばかり飲んでいる訳ではない。
九州の出なので焼酎も随分飲んできたが、最近は素晴らしい物によく出会う。
泡盛なども含め世界に通用する蒸留酒だ。
蒸し暑い日本の夏には日本のビール。
特に最初の一口の旨さときたらどんな酒にも勝る。かつてはラガー一色であったが、地ビールが解禁され、現在では大手の物も含め多くの種類が造られており、選択が広がった。
ビールと言えばベルギーが有名だ。ベルギービールの特徴と魅力はその多様性にある。
多くの醸し方があり、天然の酵母に任せる中世からの発酵方式さえ残っている。原料は、麦芽とホップのほか、小麦、ハーブ、スパイス、果実など何でもござれ。
白、赤、茶、黄金、黒と色も色々。
季節限定や地域限定もある。醸す人や場所も、修道僧が修道院で、また、兄弟2人が自宅ガレージでと様々だ。
味も、お酢並みの酸っぱさ、どっしりと重いコク、12%ものアルコール度、桜桃や桃の香りなど全てが多彩だ。ビールの常識が音を立てて崩れていった。
更に、夫々のビールに専用のグラスがあるのも面白い。
ビアカフェは人口一千万人に3万件とやたら多く、人々はどこでもビールと美食を楽しんでいる。
これではビールの虜にならざるを得ない。2度のベルギー勤務で多くのビアカフェを訪ね、400種類以上を試した。主(あるじ)が魅力的で、客同士がすぐに知り合いになれるところは、日本の居酒屋そっくりだ。
ワインは、若い頃にフランスで安い日常ワインを次々飲むところから始め、時には奮発して、上等な物いも手を伸ばした。奥深く偉大なワインの世界の広い底辺から上に飲み進んだことがワインの理解に少しは役立ったのではないかと思う。しかし、ワインの道は遠く険しい。
英国での発見は、シングルモルトの樽出し原酒だ。加水無しでアルコール度が60%を超える。ストレートの味は強烈だ。
ウォッカもいい。在京のロシア大使が14種類のウォッカを一列に並べてくれたが、少しずつでも全部飲むと相当に効いた。
中華料理には紹興酒や五糧液などの白酒、韓国料理には焼酎とマッコリ。その国の自慢の酒があればそれが一番だ。
生物でも文化でも、多様性が失われると、それら自体の存続が脅かされるそうだ。お酒も同じ。しっかり飲んで酒の多様性の維持に貢献していきたい。
(外務省広報文化交流部長、酒サムライ)
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<特別講師 門司 健次郎 氏 プロフィール>
日本酒輸出協会顧問
外務省広報文化交流部長として、外国の国民、世論を対象とする文化外交を担当。
1952年福岡県生まれ。1975年東京大学卒業、同年外務省入省。国際協定課長、安全保障政策課長など専ら条約と安全保障を担当。
在外は、フランス(研修)、オーストラリア、ベルギー、英国、EU代表部(ベルギー)に勤務。2003年より条約局審議官、防衛省防衛参事官を経て、2007年3月より2008年7月まで駐イラク大使としてバグダッドに勤務。2008年7月より現職。酒サムライ、日本酒輸出協会顧問の肩書きも有し、日本酒の海外普及にも尽力。
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