レコール・デュ・ヴァンにて10月31日(土)に開催いたします、日本酒1日講座の特別講師である、門司健次郎氏が読売新聞に連載されていた「酒ひと話」。
今回はその第3回目を掲載いたします。
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(2009年5月17日 読売新聞 朝刊より)
居酒屋巡りが好きだ。都心の繁華街にも行くが、ちょっとはずれた場所がいい。何処にでも足を運ぶ。大塚、湯島、北千住、十条、門前仲町、月島、四谷、代々木上原、麻布十番、自由が丘、武蔵小山など到底挙げ切れない。地方の名店にも心が躍る。
大勢で騒ぐのも楽しいが、独りで飲むのもいい。最近の立ち飲み屋の急増は大歓迎だ。
在京の外交官もよく連れ出した。
靴を脱いで床に座る店も多いが、欧米や中国など椅子生活の国の方は慣れておらず、座布団を折り曲げた上に座って我慢してもらう。旨い酒のためだ。
最初に発泡酒で乾杯。日本酒のシャンパンに歓声が上がる。
香りの高い酒から軽快な酒、濃醇な酒へと向かう。途中に皆を驚かせる酒を挟んだりもする。
勿論、店の自慢の肴に合わせる。刺し身はすっきり系だが、馬刺しや揚げ物はどっしり系だ。日本酒の多彩な味、食との相性が分かり易いよう酒と肴を組み立てる。皆、大いに満足し、その後は仕事も円滑に進む。これが私の進める日本酒外交だ。
しかし、居酒屋は酒と肴が揃っても、それだけでは名店とは言えない。尊敬する居酒屋評論家の太田和彦氏によれば、名店の条件とは、「いい酒、いい人、いい肴」の居酒屋三原則を満たすことだ。「人」とは主人のこと。
確かにどの名店にも主の人柄を反映した固有の雰囲気がある。
仕事で長らく安全保障に携わり、安保政策課長として非核三原則や武器輸出三原則も担当した。
この居酒屋三原則も直ちに自分の所掌に加え、常に緊張感をもって研究に励んでいる。
居酒屋は人と人を結び付けてくれる。知り合いと行けばより親しくなれる。偶然居合わせた客同士で会話が始まるのも居酒屋ならではだ。
多くの人に出会った。蔵元などの酒の関係者、食の関係者、落語家、漫画家、陶芸家、写真家、著述家、医者、学者、そしてあらゆる業種の企業の人たちだ。
お酒との関係も更に深まった。居酒屋での意気投合から日本酒輸出協会顧問を務めることになり、また外国勤務時には多くの蔵元が訪ねて来てくれた。
居酒屋の縁で、異なる仕事を持つ人たちから多くを学び、世界が広がった。それも好きなことを楽しみながらである。
皆が美酒佳肴の追求という目的を共有しているからであろうか。
酒人脈は広く深く伸び、人生を豊かにしてくれる。
(外務省広報文化交流部長、酒サムライ)
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<特別講師 門司 健次郎 氏 プロフィール>
日本酒輸出協会顧問
外務省広報文化交流部長として、外国の国民、世論を対象とする文化外交を担当。
1952年福岡県生まれ。1975年東京大学卒業、同年外務省入省。国際協定課長、安全保障政策課長など専ら条約と安全保障を担当。
在外は、フランス(研修)、オーストラリア、ベルギー、英国、EU代表部(ベルギー)に勤務。2003年より条約局審議官、防衛省防衛参事官を経て、2007年3月より2008年7月まで駐イラク大使としてバグダッドに勤務。2008年7月より現職。酒サムライ、日本酒輸出協会顧問の肩書きも有し、日本酒の海外普及にも尽力。
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***事務局より***
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