05月10日 15時40分 担当/初代校長 梅田悦生
ワインスクールの教壇に立って早20年。はじめて先生をした頃に生まれた赤ちゃんは、もうお酒を飲んでもいい年なんだ・・・・なんて、感動(?)ものです。
この20年間変わっていないものがいくつもあります。この変動の激しい時代に20年も変わらないなんて、なんて旧態然、と思ってはいけません。ワインは5000年以上も前から造り方の基本は同じですし、フランスにある数多くの超有名シャトーでは、100年以上も前からワイン造りの手法を変えていません。
ひょっとすると、間違って、50年ほど前に農薬を使ったり、殺虫剤を使ったかもしれません。
しかし、今は、ビオという名前の農薬、殺虫剤なし、という農法があります。そんなことは、農薬も殺虫剤もない時代では当たり前のことだったのです。ボルドーのメドックでは1855年決めたワインの格付けは、一つの例外を除いて、なにも変えていないのです。
本題の、20年間変わっていないものの話です。
私は授業を始める時に、受講生の皆さんに必ず「授業中は頬杖を付かないこと」「足を組まないこと」といいます。皆さんはワインを習いに来たのです。あなたがもし、茶道の先生なら、生徒さんが頬杖をついていたら注意するでしょう。会社の会議で重役がいる前で、頬杖をつかないでしょう。リラックスするのと、マナーは別のことです。あなたが講演を頼まれて懸命に話している時に、あくびをされたら楽しくないでしょう。同じ事です。
足を組んでは姿勢が悪くなります。悪い姿勢でのテイスティングでは真剣さが出ません。ワインの国際的な品評会に行くと、審査員は正しい姿勢で集中しています。足など組んでいません。同じことと考えましょう。
授業の初回に受講生側から必ず出る質問も、20年間同じです。それは、「安くて美味しいワインを教えて下さい」です(笑)。これは難しい質問というか、質問する方はお気軽ですが、答える側(私)は苦労します。答えは一つですが、その表現方法には毎回苦労します。
で、結論として私の答えは「安くて美味しいワインを私は知りません」です。ナンダ知らないのかと・・・思いますか?
皆さん、森伊蔵という名前の鹿児島産の芋焼酎をご存知ですか。森伊蔵はとても美味しいですね。私も大好きです。そして、定価は3,000円もしません。ですが、安くて美味しいお酒があるじゃないですか・・・と本気を思う人はいないはずです。森伊蔵は限定数を定価で蔵出ししています。しかし、抽選に勝ち抜かないと手に入りません。そして、その抽選で森伊蔵を手に入れた人の多くが、本人は飲まないでインターネットのオークションで2万円から3万円で売り出すのです。本人は飲まないで、です。もうおわかりでしょう。美味しいものは値段が上がります。ですから、安くて美味しいワインは・・・・私には見当たりません。
その昔、モンダビのカベルネ・ソーヴィニヨンがお手頃な値段で、しかも美味しいと感動しました。ですが、半年もたたない内に値段は50%値上がりしました。お手頃ではなくなったのです。(!!!)
こう答えると、「ですが私は○○○という安くて美味しいワインを見つけました」という人が必ずいます。私の答えは、(微笑を添えて・・・)「よかったですね」です。いかがでしょうか、もしそんなに美味しいワインならば、沢山の人が行列をなして我勝ちに買いに行くずなのです。現実は、きっとそれほどの行列ではないでしょう。
「安くてあなたの口に合うワインは必ずあります。しかし、それはビジネスの時に大切なお客様に出すワインなのでしょうか」これが私の答えです。ひとこと付け加えると、私自身に関しては、安くて美味しいと信じているお気に入りのワインはあるのですよ。ですが、我が家のお客様にそれを出すことはありません。
PS. ワインはすべからく褒めてあげましょう。「安いワイン」といってはいけません。「お手頃なワイン」と言いましょう。
***事務局より***
本格的にワインの勉強をしたくなったら・・・「ソムリエ資格試験講座」
来年度の受験にご興味のある方、まずは資料請求を⇒コチラ
