01月24日 10時33分 担当/講師 信国武洋
『神の雫』。。。
『ソムリエ』『瞬のワイン』『ソムリエール』といくつかのワインやソムリエを題材にした作品はあったが『神の雫』ほど世界的なブームを起こしている『MANGA』は存在しない。。。
08年9月にブルゴーニュに行った時にボーヌ市街のワインショップで『神の雫』がフランス語に翻訳されて陳列されていた、私は日本人として『神の雫』を誇りに思った。
そして今回、その原作者に会えるという幸運に恵まれた!
彼らの名は亜樹 直さん、彼らと言ったのはそう二人で一人だからである。
私はお二人に会えた興奮を先ずは鎮めて冷静に講義を始めなければならなかった、何より驚いたのはお二人のティスティング能力の高さである。始めはボーカステルのシャトーヌフデュパプ・ヴィエイユ・ヴィーニュの白である。
ヴィンテージは06年漫画の中では99年である。
作品の中では「オルゴール」の様だと表現されるが、06年はそこまでには全く至ってなくまるで「黄色系果実のフルーツバスケット」を運んできたような味わいがした、ワインとは一度瓶詰めされてしまえば人間は何もしてあげる事ができない、そのワインに魔法を掛けれるのは時という名の時間だけなのである。
コートデュローヌのドメーヌ・サン・コム、こんなに硬い、こんなにミネラリーな、まさにローヌの焼けた石の香りがするAC コート・デュ・ローヌを私は初めて飲んだ、勿論コート・ロティやエルミタージュ、シャトーヌフデュパプであれば、この様なワインを何度もお目にかかる事はあったが、これで3200円なのである。ここが大事で、高くて美味しいワインは幾らでもあるし、当たり前である。安くて美味しいワインを見つける事が出来るのが本当に優秀なソムリエなのである。プピーユ03、作品の中では亡くなった友を思い出しながら、昔のロックミュージックのクラブを思い出すシーンで使われている、以前のプピーユはもっとエレガントなスタイルであったが、近年随分とスタイルを変えてきた、よりロバート・パーカー寄りなワインになったようで少し残念に思えたが味わいはパワフルで男性的でこれぞメルロと判らせてくれるワインである。
まさにモダン・リブルネワインの現在形であった。一転してエレガントで懐かしささえ感じるジュブレシャンベルダンが今いくつあるであろうか?ブルゴーニュのボルドー化現象が進む中で、ワインはより凝縮していて、樽香がついていて、アルコールが高くて、何よりタニックである。
「ボルドーワインはまるでコカコーラを飲んでるようだ」と3年位前にヴォルネイのニコラロシニョールの家に訪問した時に彼と話した事をよく覚えているが、08年秋にブルゴーニュを訪問した時はブルゴーニュが今、ボルドーのそれに似ている事に私は気が付いた。
しかしドメーヌ・ギヤールは違う、いまなおクラシックであり続けている。こんな近代化が進む中で過去を生きている、過去を貫いているドメーヌがいつくあるだろうか。
作品の中で女性が今は亡き恋人と過ごした、森の中のペンションで目覚めの朝、オレンジ、いちご、メロンなど様々なフルーツが入ったフルーツカクテルをイメージした甘酸っぱい恋愛を思い出すワインとして登場するが、今回飲んだ2005年ですら私はギヤールに小学生の時に生めた「タイムカプセル」を思い浮かべた、この世の中に最後に生き残るワインはこういったワインであるのは間違いない。「モナリザ」作品の中で紹介されるシャトー・パルメ99、ヴィンテージも同一のものを用意できた。
まさに女性的で、かつ誇り高いワインの女王であり、その中に強さと儚さ、天使の微笑みと悪魔の視線が同居している、この中にはまさにモナリザが住んでいる様なワインである。
93年のパルメは中が空洞化してきていてモナリザとは言えない、82のパルメは男性的で且つ繊細でゴッホが描くような儚さや危うさのあるワインであった。
まさに受講生全員がパルメの中に『モナリザ』を感じた瞬間であった。漫画で登場する「シャトー・ラフルール94」当日は同一のヴィンテージが用意できず、1997年を用意した、残念ながら劣化ではないが97年はラフルールの名に相応しい物ではなかった、私は事前のデカンタージュをした際にそれは判っていた、しかし代替のワインはない、仮に他のラフルール97を出しても同じ事である、何故ならこのワインは劣化ではなく、97年の個性だからである。
私は「疲れ果てた老人」をイメージしたが、亜樹さんは「失落した夫婦のようだ」と表現した、ここが想像力の違いなんだと驚愕した。『神の雫』の「神咲 雫 君」はまさに、原作者の亜樹 直さん自身なのではないかと、最後に感じたのは私だけだろうか?何故ならあの作品は原作者がかつて飲んだ体験に元ずいてストーリを12の使徒に置き換えている。
モナリザは実はレオナルドダヴィンチ自身だという説があるように、神咲 雫 君は亜樹 直さん自身であると感じると共に、そうであって欲しいと願うのである。信国 武洋
***事務局より***
信国 武洋が筆頭講師を勤める「ソムリエ資格試験講座」いよいよ実戦講座受付開始です!
お申込みはお早めに!⇒「ソムリエ資格試験講座」
